第二次大戦前夜の1939年。アーバスノット・ホテルでアルバイトをしていたハーバード大学の学生ウィン・ベリーは、メアリーと出会って恋におちた。そのホテルの熊の曲芸を売りものにしていたユダヤ人のフロイトは、国際情勢の不穏な動きに、ベリーに熊を売りメアリーとの結婚を約束させてウィーンへ旅立った。
その約束を守って結婚した2人は5人の子の親となった。教師として生計を立てながらもホテル経営の夢を抱くベリーは、女学校の古い校舎を買い取って改築し「ホテル・ニューハンプシャー」と名付けた。緑に囲まれたこのホテルで、子供たちは様々な経験をしながら大きくなっていく。同性愛者の長男フランク、美しい長女フラニー、姉を熱愛するひ弱な次男ジョン、身長の伸びない文学少女の次女リリー、耳の不自由な三男エッグ。
やがて祖父のアイオワ・ボブが急死し、ホテルの経営も思わしくなくなったころ、「ホテルを手に入れた」という手紙がフロイトから届いた。一家は新天地オーストラリアに希望を求めて大西洋を渡ったものの母メアリーとエッグを飛行機事故で失ってしまう。再会したフロイトはナチのため盲目になっていた。熊のぬいぐるみを着た娘スージーもいた。ホテルには売春婦やテロリストがはびこり、第二のホテル・ニューハンプシャーの道はけわしかったが、みんなの必死の努力でなんとか軌道に乗りかける。その矢先にホテルがオペラ座爆破を企むテロリストのグループに乗っ取られてしまった。フロイトが自らの命を犠牲にしたおかげでテロは未遂に終わったが、ベリー一家はホテルを失い、彼も視力を奪われてしまった。
この事件で一家は「オペラ座を救った家族」として有名になり、リリーが書いた一家の物語もベストセラーになった。彼らはスージーを連れてアメリカに凱旋するが、第2作に失敗したリリーは自殺に追いつめられてしまった。
多くの愛する者を失った悲しみを乗り越え、アーバスノットに戻ってきたベリーは、第三のホテル・ニューハンプシャーを誕生させ、ずっと抱き続けてきた夢を実現させるのだった。