ムーンリットナイト







製作: フルビオ・ルチザーノ
タラク・ベン・アマール
監督: リナ・ウェルトミューラー
原案・脚本: リナ・ウェルトミューラー
撮影: カルロ・タファーニ
編集: ピエルルイジ・レオナルディ
美術: エンリコ・ヨブ
衣裳: ジャンニ・ヴェルサーチ
音楽: グレコ&ダンジオ
アヴィヨン・トラヴェル
出演: ルトガー・ハウアー(ジョン・ノット)
ナスターシャ・キンスキー(ジョエル)
フェイ・ダナウェイ(コルバー主人)
ドミニク・サンダ(キャロル)
ピーター・オトゥール(マクショウル教授)
ロレイン・ブラッコ(シーラ)
マッシモ・ウェルトミューラー(マックス)
ルイジ・モンテフォリ(ザック)
製作会社: イタリアン・インターナショナル・フィルム
イスティトゥート・ルーチェ
カルタゴ・フィルム
公開: 1989年イタリア・フランス
日本公開1991年(バンダイ配給)。カラー、109分。




STORY

1985年イタリア。ホテルの一室で新婚の若い男女がエイズ感染を苦に心中した。二人の親たちは、この病気の恐ろしさを誇張し書き立てたマスコミの責任であることを痛切に訴えた。

こうした状況の中で、新聞記者ジョン・ノット(ルトガー・ハウアー)は、カメラマンのマックス(マッシモ・ウェルトミューラー)と共に、ヨーロッパ各地でエイズ感染者に対する反応を取材して回る。レストラン等でエイズ・キャリアと自称し、人々の反応を見るという実験を行っていくのだ。反応は皆、否定的である。ローマのカフェで出会ったキャロル(ドミニク・サンダ)も、エイズという言葉を聞いた途端、彼を冷たく追い払う。ジョンの記事は大反響を呼んでいく。

パリの新聞社にもどったジョンは昔の恋人でカメラマンのジョエル(ナスターシャ・キンスキー)と再会する。別れていた間に彼女はジョンの子供を産み、育てていた。二人は二度と離れないことを誓う。

取材のためにベニスに出向いたジョンは、偶然古い友人ザック(ルイジ・モンテフィオリ)に出会う。ジョンをキャリアだと信じたザックは、自分自身もキャリアだと告白する。ザックは皮肉に笑う。「運命の前で人は平等。キリストもマルクスもそう言った。それが再び証明されるんだよ」そして、自分の恋人マーシャがエイズで死んだことを告げる。マーシャとは、ジョンがジョエルに去られて悲嘆に暮れていた折り、月の美しい夜(ムーンリットナイト)に一度だけ関係を持った相手だった。不安にかられたジョンはロンドンの病院で検査を受ける。結果は、HIVプラス、すなわちエイズ・キャリアと宣告された。

ジョンの記事は以前の鋭さを失う。彼はパリから、そしてジョエルのもとから理由を告げずに立ち去る。「苦しい立場にいる人間こそ、愛する者の助けと安らぎが必要だ」というマクショウル教授(ピーター・オトゥール)の助言も今のジョンには何の助けにもならなかった。

ジョンがたどり着いた所は彼が青春時代を過ごしたニューヨークだった。ロンドンから電話でパリの医師に内密に、ジョエルと子供の検査を依頼しておいたジョンは、ひとりぼっちのニューヨークのアパートで結果を知り、安堵と感激のあまり、すすり泣く。

ジョンは絶望を怒りに変え、生きるために病気と闘っていこうと決心する。彼はロンドンの病院から盗み出したエイズ・キャリアのリストに、大企業ベビー・プラザ社長のコルバー夫人(フェイ・ダナウェイ)の名前を見つける。脅迫まがいの態度で彼はコルバー夫人に接近する。自分と手を組み、エイズ撲滅事業をしていかないか、と。ジョンは言う。「目を見ればわかる。あなたも僕と同様、生に飢えている」

四年後。ジョンは事業の成功者となっていた。一方、ジョエルは、説明もなく姿を消した恋人にショックを受けながらも、子供を一人で育てていくことを心に決め、ジョンの自分への愛を信じ続けようとしていた。

ジョンがマックスとの電話で、ジョエルがあのプレイボーイのザックの取材に出かけたと聞いたのはそんな時だった。ジョエルを守ろうと、ベニスに飛ぶジョン。ザックの屋敷を訪れたジョエルは、そこにザックと乱闘して血まみれのジョンを見て驚く。しかし、「来るな!」と叫ぶジョンに、訳がわからず泣きながら逃げ出すジョエル。

そして、ジョエルはついにジョンの秘密を知る……。





PRODUCTION NOTES

パリ、ローマ、ベニス、ロンドン、そしてニューヨークを舞台に展開するモダンでファッショナブルなリナ・ウェルトミューラーの最新作『ムーンリットナイト』は、またしても愛についてのドラマだ。

孤島での北部のブルジョワ女と南部水夫のつかの間の愛を描いて女流監督ウェルトミューラーの名を世界的に有名にした『流されて…』(74)、アメリカの女流カメラマン(キャンディス・バーゲン)とイタリアの新聞記者(ジャンカルロ・ジャンニーニ)の結婚生活から生じる軋みを描いた『LA FINE DEL MONDO…』(77)、そして凄腕の女流実業家と誘拐グループの首領の愛のゲームを描いた『流されて2』(86)と、ギャップのある愛を描き続けるウェルトミューラー。その愛のギャップとは、階級差であったり、出身地域の相違──南部と北部──や国籍、思想の相違であったりした。

この『ムーンリットナイト』も、一言で言えばラブ・ストーリーである。だが、この作品でも愛に障害がつきまとう。その障害とは、二十一世紀を迎えようとする人類が直面した最大の脅威、エイズである。

主人公のジャーナリスト、ジョン・ノットは、エイズ感染者(キャリア)だと偽ってヨーロッパ各地での差別意識を精力的に取材している。レストラン等で彼は締め出され、ローマで出会ったキャロルという女も、ジョンがエイズ・キャリアだと告げると、冷たく彼を追い出した。

ある時、ジョンは、“月の美しい夜(ムーンリットナイト)”に一度だけ関係を持った女性が、エイズで死んだことを知る。そして、病院での検査の結果、自分が実際にエイズに冒されていることが判明する。彼にはジョエルという恋人がいた。そしてジョエルとの間には子供も…。

この難しいテーマに挑んだウェルトミューラーは、シナリオの執筆に二年半の年月を費やしたと言う。確かに、この映画のテーマは大変シリアスだが、ウェルトミューラーは、映画のラストで愛の力がエイズに打ち勝つことを暗示している。

困難なテーマにもかかわらずウェルトミューラーのもとには世界の五大スターが結集した。エイズ・キャリアであることを知って絶望したものの、エイズ撲滅の戦いを始めたジャーナリスト、ジョンにはアクション・スターから脱皮して『聖なる酔っぱらいの伝説』で入神の演技を見せたルトガー・ハウアー。彼は、この映画の台詞協力に名を連ねているほどの熱の入れようである。その恋人のジョエルには、代表作『パリ、テキサス』や、このところでは『マグダレーナ』『太陽は夜も輝く』と公開作が続くナスターシャ・キンスキー。ニューヨークでジョンのエイズ撲滅事業のパートナーとなるコルバー夫人には『俺たちに明日はない』でスターの座につき、『ネットワーク』でオスカーを手にし、近年では『バーフライ』『ウィーンに燃えて』で堂々たる演技を見せたフェイ・ダナウェイ。ロンドンのエイズの権威の科学者には、『アラビアのロレンス』や『ラストエンペラー』等の数々の名作に出演している名優ピーター・オトゥール。また、ほんの僅かな出番ではあるが、この作品にエレガントな彩りを加えているのは、『1900年』や『肉体と財産』のドミニク・サンダである。彼女は、ウェルトミューラーの前作『IL DECIMO CLANDESTINO』に続いて二度目のウェルトミューラ作品出演。

この他にも「エル」「マリ・クレール」の表紙を飾ったモデルの出身で、『誰かに見られてる』『グッドフェローズ』等、このところ売れっ子のロレイン・ブラッコ、監督の甥で『流されて2』のマッシモ・ウェルトミューラー、『アクエリアス』のルイジ・モンテフィオリががっちり脇を固めている。

撮影は、ウェルトミューラーの前作で撮影監督としてデビューしたカルロ・タファーニ。新人とは思えない映像も、この映画の魅力の一つである。美術は、『FILM D'AMORE E D'ANARCHIA』(73)以後の全作品を手掛けているウェルトミューラの最愛の夫、エンリコ・ヨブ。また『流されて2』ではヴァレンティノの衣裳が話題を呼んだが、この作品では、ジャンニ・ヴェルサーチの衣裳が使われていることも見逃せない。音楽は、『流されて2』のグレコとダンジオ、そしてアヴィヨン・トラヴェル。それにトム・ウェイツの“ストレンジ・ウェザー”が挿入されている。

なお、撮影時のタイトルは“CRYSTAL OR ASH, FIRE OR WIND, AS LONG AS IT'S LOVE”。





REVIEW / NOTE

準備中。





LINK

In una notte di chiaro di luna (1989) … iMDbによる詳細データ(英語)