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彼女の母親はナスターシャ。祖父は怪優クラウス。そして現在。明確な意志と魅力をもつ彼女は間違いなく映画の道へと進むだろう。
ソーニャのチャームポイントはダークヘアの隙間から覗く燃えるような瞳と、その表情の豊かさだ。それは彼女のラストネームに象徴されている──キンスキー。映画界のミューズである母親ナスターシャのように、そしてヴェルナー・ヘルツォークの作品の主人公やその他たくさんの映画で活躍した祖父クラウスのように。ソーニャは彼らの運命的な継承者である。注意すべきなのは、彼女が母親のラストネームを名乗っていることだろう。彼女は自宅のあるカリフォルニアからイタリアまで、自分の夢を追うために飛んできた。ミラノにて、GQスタッフはあるアパレル・ブランドのキャンペーン活動中の彼女と会うことが出来た。それから彼女は(まだトップシークレット情報だが、彼女の最初の映画の舞台となる地である)ローマに短期滞在した。「そのうち映画に出ることになるわ。演技の授業を専攻しているの。ドラマティックな役柄にフォーカスを絞ってね。それが私の得意分野だから」。パリス・ヒルトンやブリトニー・スピアーズが席巻するベル・エア地区のティーン・セレブリティとしては悪くない決断だ。そして数ヶ月前、サッカー選手のピッポ・インザーギと一緒にいるところをパパラッチされた彼女は、後にこう語っている。「ただの友達。イタリア人のサッカー選手に対する好奇心ってちょっと異常よ」。リチャード・アヴェドンが母ナスターシャをモデルに発表した「蛇を体に巻きつけた女」の写真を、2003年にはミッシェル・コントと組むことによってリメイクしている。彼女はこの写真をこう定義する──「少女から大人の女へ、自己の確立」。それでは、彼女が愛する映画作品を通じて、ソーニャの内に秘める映画への情熱を分析していこう。
「私のおじいちゃん、クラウスの映画はどれも好きだけど、これは特別よ。スリルを感じる作品ね。彼の素早い瞬きとか振る舞いは観客に驚くほどの印象を残すの。暗く、強烈なね。彼は天才だった。母をはじめとする、たくさんの人にとっては残酷な人間だったというのは残念だけどね」
マーロン・ブランドの自然な台詞回しは私にとってお手本にしたいものの一つね。この作品での彼は煮え切らない、優柔不断な男性を演じているんだけど、エヴァ・マリー・セイントのような純粋な女性に出会ってまさに『心を開く』ようになるの。そして彼女の愛に感謝する。驚くべき変貌を遂げるのよね」
「母の友人でもあるリズ・テイラーは、この作品では飛び抜けてるわ:セクシーで、魅惑的で、情熱的なの。情熱的な女性が一人の男性に尽くそうとする:私だったら心を許せる男性がいても、その人のほうから尽くしてほしいかな。実際には私はそういう恋愛経験がないんだけど」
「ウディとダイアン・キートンはあの役に完璧にハマっていたと思うわ。けんかしたかと思えば、仲良くなって、キスをし、もう一度はじめからやり直そうとする。それからウディはスコセッシやフェリーニと並んで私が大好きな監督よ。前の奥さんの娘と結婚したことと、彼の仕事と何の関係があるの?何も無いわ:人生というドアがあり、私たちはそれを開くしかないのよ」
「この映画のロバート・デ・ニーロは私にクラウスを思い起こさせるわ。怒りのテンションに近いものを感じるの。映画を見ることで私たちが何かを感じたり、興味をもったりすることは感動的なことだと思う」
「いままでで最高の映画かも。デ・ニーロの狂気の演技というか、『俺に話してるのか?』って繰り返すシーンがあるでしょ。台詞回しで大切なのは「フリをする」ことじゃなく「なりきる」ことだというのを教えてくれる名演だったわ」
私は暴力は好きではないけど、マフィア映画だけは例外よ:たくさんの誤解、血や殺戮にあふれた映画だけど、私をスクリーンに引き付けてはなさない魅力があるの」
この映画の持つ感性と暴力は私の心を打ったし、家族がバラバラになってしまう問題に立ち向かおうという気力を備えてくれたわ。あの父親が感じていた無条件の愛というのを私はよく知っている気がするの。私もかつて身内に対してそういう心を持とうとしたことがあるから。つまるところ、私たち全員が本当に必要としていたのはそれだけなのよ」
「息子のために良いことをしようと恐怖に立ち向かうあの父親が大好きなの。それでいて楽観的なのよね。私もああゆう父親に育てられてたらな、って思うわ。可哀想な悪魔が私に『暴力』と『貧困』の存在を知らしめたの。でも私は自分自身を良くするしかないと思った。だって私は他の誰かを変えられるなんて思わないもの」
「母からこの映画を教えてもらって、私は彼女をより身近に感じることが出来るようになった:画家としての視点で言っても、この作品からは芸術的な性質を感じるわ。5年前にこの作品を見て、そこに登場する人間と雌の黒ヒョウの美しさに魅了されたの。母は私にとって友人の一人でもあるし、特別な存在でもある。対抗心? 私は比較されるのが好きじゃないの。全てのヒトは唯一の存在だと思うから」
ソーニャとルーツ: その家系は勢力を少しずつのばし、映画界を席巻してきたのであった。
代表者。ナスターシャの父であり、天才的なエンターテーナー、俳優。4人の妻(とそれぞれの子供)をもった。
ソーニャの母親兼、友人。ヴェンダース、ポランスキー、タヴィアーニ兄弟らのミューズとも言える女優。5ヶ国語を流暢に操る。
クインシー・ジョーンズは一時期ナスターシャのパートナーだった音楽プロデューサーであり、作曲家。2人は娘ケーニャを設けている。
いわゆる叔父にあたる(ナスターシャの義弟)。俳優であり、父クラウスが監督した『パガニーニ』にも出演している。
女優で、ナスターシャの従姉妹にあたる。イタリアを中心に活躍。ドラマのナレーションなども。
ソーニャ(とアリョーシャの父親)であり、ナスターシャとは8年間の夫婦生活を送った。フェリーニ『インテルヴィスタ』のプロデューサーも勤めた。
1986年、ナスターシャ・キンスキーとエジプト出身の映画プロデューサーであるイブラヒム・ムッサとの間に生まれる。
カリフォルニア州はベル・エア地区に母、兄、妹と住んでいる。
高校を卒業してからはモデル業に時間を費やしている。一緒に仕事をしたのは、トミーフィルフィガーから、ミッシェル・コントやピーター・リンドバーグなどの写真家にまでおよんでいる。
映画をむさぼるように見ること。絵を描くこと。絵はもっとやっていきたいと思っている。また、70年代のロック・ミュージック、ジーンズ、女/男友達との旅行も大好き、とのこと。
SONJA KINSKI