20 ans après sa mère, Nastassja par Richard Avedon :

Sonja Kinski par Michel Comte

Sonja Kinski par Michel Comte

写真史に残る恐るべき事件! 200号では、リチャード・アヴェドンの手による3ページもの大きさのナスターシャ・キンスキーが表紙を飾っていた。この写真をちょっと料理してみたのだ! 400号の表紙に企画にあたって、"Photo"誌はそれの延長、つまり彼女の娘であるソーニャを起用することを考えた。彼女はクーカイで、ピーター・リンドバーグによる写真で既に知られている存在だ。よし、決めたぞ! 問い合わせてみよう! ソーニャはEliteを代表するモデルでもある。我々は彼らを信頼している。連絡する。身震いしながら、ナスターシャにFAXしてみたのだ…その手書きの文面は、この女優に彼女の熱意と彼女のより美しい写真の汚れることの無い記憶を共有し、このプロジェクトにトータルで関わってくれることをお願いするものだった。我々は売れっ子写真家であるミッシェル・コントを起用し、彼に無限大のパワーを与えた。有名人を複数いっしょに連れてくるというのは簡単なことではないのだ。時は過ぎ…締め切りが迫る。冷や汗。最終的に、撮影は5月17日にロサンゼルスで行われることとなった。夕方になっても、アシスタントのジェロームはロサンゼルスにとどまっていた──Picto経由の"Photo"誌用原稿を書いていたのだ。その写真が我々の前に立ちはだかったとき、それは信じられない体験だった。魔法が起きたのだ! 写真史に残る歴史的事件がまさにここで起こったのだ…滞在中のL.A.にて、Élodie Mailliet

真っ暗なスタジオ内。認識できるのは、白い台座の上に横たわり、その体に黄色の蛇を巻きつけている、どこかで見たことのある外国人の女性だけだ。スタジオの中央では抑えぎみに「待ってくれ、そこだ、動くな、動くなよ。そこだぞ…もう少しこっちかな…そうだ…口を開けて…」なんて声が聞こえている。薄明かりのなか、その写真家の体、その背中の曲線はだんだんと硬直し、その筋肉は張りつめ、その声は最後には衰え、絞り出すような感じになってきた。「そこだ!!! そう!!! そうだよ!!!」と叫ぶのはミッシェル・コント。フラッシュの光が瞬く。その光が周囲のものを飛び上がらせる。その瞬間は暴力的でさえある。彼の後ろで5分近くも息をひそめて隠れているスタッフは、これが終わるまでその呼吸を取り戻すことさえできない。ミッシェルの真後ろにいた彼専属のデザイナーは、その激しい撮影の間じゅう後ろをうろうろしていた。蛇を運ぼうとしていたとき、蛇が彼の足下に近付いてきたのだ。「俺がいつもこんな撮影をやってるのはみんなよく知ってると思うけど、最大限に注意を払わなければいけないよ」。つまり、蛇を落ち着かせるために努力せよ、ということだ。ミッシェル・コントによる、この記念すべき"Photo"誌の表紙撮影に立ち会うにあたって、私たちは写真の芸術性というものが、特にこの写真家については、愛のある行動というものに密接に関係していることを実感することとなった。午前10時、ロサンゼルス空港にほど近い郊外に紛れた、5番街サンセット通りのスタジオにて、撮影を行うためのセットが組み上がった。13人ものスタッフには、ミッシェルの助手、プロデューサー、メイク担当、ヘアドレッサー、デザイナー、動物の調整トリマーらを含んでおり、すぐにでも仕事にかかれる状態にある。"Photo"誌の200号の表紙は、アヴェドンによるナスターシャ・キンスキーと蛇の神話的ともいえる写真であった。それでは、今度の400号のための再構築という難題において、その候補にあがるのは誰なのか。スタッフたちはその時々でこれについて思いをめぐらせてきた。そして、トーンは落ち着きに満ちており、信頼感に溢れた、この写真家が候補に挙がったのだ。花から花へ飛び回るハチのように、ミッシェルは大勢の候補の中から抜きん出て、このスタッフとの共同作業に加わった。スタジオの左側で、助手たちが20×25のリンホフのカメラ、照明付きの小さな箱と一緒に360mmのシュナイダーのレンズを設置している。5分後、 私たちはメイク室で、上品なメイクを施されたソーニャを見つけた。このナスターシャの娘は、かつて自分の母親が務めた仕事をもう一度務めるための準備をしているのだ。「あなたがとりわけ学校嫌いなのはわかってるけど、本を読むのは大切なことよ」。どうやらなにか説得しているようである。「もちろんよ! 私は勉強が好きだもの!」とソーニャが母親を安心させる。撮影の中日、ナスターシャはクインシー・ジョーンズとの間に設けたもう一人の娘、ケーニャ(11歳)と、オードリーという名前のブルドッグを連れて現れた。このスターは、ノーメイクだというのにシンプルな輝きを放ち、シンプルなスカートとパステル・カラーのティーシャツという格好で、娘が最小限の準備で撮影に臨めるように気を使い、自分のときよりさらに美しい成果を生み出すために今日来てくれたのだ。13時になると、全ての準備が整った。ランチも終了だ。30分ほど廻ったところで、全員の息があってきた。ソーニャはというと、その透明感溢れる美しさを発揮し、またそれを抑えつつも、ゆっくりと白い台座の上に横たわる。調整トリマーがその横にニシキヘビを用意する。「さあ、みんな静かにしてくれ。犬どもは外へ追いやるんだ。吠えられちゃ仕事にならない」。その写真家は自身を集中させようと追い打ちをかける。蛇の体がその若い女性の輝く肌の上でうねり、レンズが蛇と彼女だけを映し出す。その爬虫類のかすかな鳴き声が彼の耳元に届く。スタッフらはそれを聞くと同時に動けなくなってしまった──その「おぉ」とか「あぁ」とかいう彼らのため息も同時にその猛獣の耳に届く。私たちはギリシャで起こったある悲劇を信じたくなっていた。それが近付き、すぐ隣にいる…だがミッシェル・コントはイライラしっぱなしだった。「このミッシェル様を知ってるよな、知ってるならアヴェドン様と同じように俺にも1日と1夜の撮影を成功に導いてくれるはずだぜ」。ナスターシャは彼に全てを委ねる。「私は心配なんてしてないわ、無事に終わるってことがわかってるもの」。彼女はそう答えた。ミッシェルは一気に撮影を進めた。20分あったら、そのうちスタッフが集中していられるのは5分ほどでしかない。配置や装飾を変更し、鷹を連れてきて、それからソーニャに蛇を巻き付けて直立するようリクエストを出す。そしてここで、本当に魔法の瞬間が訪れたのだ…この写真家は圧倒的なイメージをカメラに納めることに成功した。その優れた手腕にも関わらず、ミッシェルはいつも半分の満足しか得られなかったという。彼が望む成功とは、アヴェドンによるもと同じイメージをとらえることであった。そしてこれは、カンニングで生まれたものではない。ソーニャをいま再び横たえさせる必要があったのだ。結局6時間弱にもおよんだ撮影で、その瞬間が訪れた時、まさにそのとき、ミッシェルはそれを捉えた。「それが来るってわかったんだ。言葉じゃ説明できないけど、俺にはわかったんだよ、何かが俺に語りかけたんだ」。撮影の後、内気な恋人をちらりと目で追いやりながらその写真家は語ったのであった。